ibaibabaibaiのサイエンスブログ

サイエンス中心の予定ですが,何を書くかわかりません.統計とかの話はこっちに書くつもり. https://sites.google.com/site/iwanamidatascience/memberspages/ibayukito  ツイッターは@ibaibabaibai

(内容移動)

前の回に内容を移動して合併し(4+5)としました. ibaibabaibai-h.hatenablog.com

はしか物語(4+5) 成人麻疹体験記

最後に,麻疹のサイエンスを面白がっていたら,自分が罹ってしまった,というお話.麻疹の発症数はその後急激に減っているので,いまでは珍しい体験ということになるかもしれません.長くなったので前後編に分けます. 初夏6月,謎の病気になる 最初の兆候…

はしか物語(3)【改訂版】 当たり年・外れ年・カオス

最初に戻って,麻疹の流行を非線形力学系の視点から眺める.ここに書いたようなことはいろいろな伝染病にあてはまる可能性があるが,(1)感染力が強く,(2)感染して症状の出ない人がほとんどおらず,(3)多くの人が比較的すみやかに回復し,(4)回…

(内容移動)

直前の回に内容を移動してまとめ(1+2)としました. ibaibabaibai-h.hatenablog.com

はしか物語(1+2) 病気の振動と絶滅,都市の誕生

今回のシリーズは麻疹(はしか)の話.修士課程で氷の研究をしたあと,博士課程のはじめくらいに,伝染病のシミュレーションを格子の上で走らせて遊んでいたことがある.和文論文をひとつ書いたのだが,いま読むと何をやっているのかよくわからない内容なの…

岩波データサイエンス3巻 「因果推論」 トークイベントのお知らせ 

岩波データサイエンス3巻(DS3)の特集「因果推論」関連のトークイベントのお知らせです.登録不要・入場無料 6月30日(木) 19:00-21:10(18:45開場) 東大医学部2号館本館大講堂 東京大学 [本郷キャンパスマップ(医学部2号館本館)]最寄り駅は本郷三丁目(丸…

岩波データサイエンス3巻「因果推論」発売

先週末にようやく岩波データサイエンス3巻が発売になり,少しほっとしています.サイエンスブログもそろそろ新ネタを投入したいところですが,もう何年もずっと書いている著書(確率統計の入門書)のほうもやらないといけないので,次はまた番外編になりそ…

トークイベント「ナンプレと魔方陣 解いたり作ったり数えたり」動画

ひとつ前の記事で告知した岩波データサイエンス2巻関連のトークイベント「ナンプレと魔方陣 解いたり作ったり数えたり」,無事に終了しました.イベントの様子の動画などをこちらに掲載しました.[話題] ナンプレ&魔方陣 - 岩波データサイエンス (おまけ…

トークイベントのお知らせ

岩波データサイエンストークイベント 5/30(月)19:00 https://www.shosen.co.jp/event/33704/ ナンプレと魔方陣 ― 解いたり作ったり数えたり ナンプレの達人と物理学徒のコラボでお送りしますDS2執筆者紹介 (とん,福島孝治,他) 森西亨太 ナンプレ早…

春本番,東北のカタクリを見に行ってヤツメウナギに遭う(番外編2)

番外編その2です.秋田にいる高校の友人が車を出してくれるということで,かねてから気になっていた和賀のカタクリを見に行くことにしました.今回は彼女はお休みです.3月末にジムの階段から落ちてホネにひびが入って,しばらく遠出はできないことに.最…

アイス・イレブンの秘密(2) 72K相転移の発見

ここまでの話 前回は,氷の中の水素原子(正確には水素イオン=プロトン)がice ruleという制約条件の範囲でランダムに動いていることを説明した.また,それから順列組み合わせの式で求めたエントロピ―の計算が温度計や魔法瓶を使った実験とぴったり合う,…

アイス・イレブンの秘密(1) まず普通の氷について熱く語ろう

自分の修論は氷の誘電率を統計力学で計算する話だった.その研究はうまく行かなかったが,もとになった話はなかなか面白く,その後も発展しているので,2回のシリーズで紹介したい.今回はまず80年前にはじまる基本の話を説明し,次回はそれから現代までの…

春を探しに行ってマメヅタを観察してきた(番外編)

ちょっと息抜きに,2月なかばに行った小旅行の話など.アニメだと,番外編の次の回はひときわ激しい戦闘シーンと決まっていますが・・ 頑張ります. 早春の温泉町をぶらぶら 湯河原の老舗のひとつ伊藤屋さんの早咲きの桜.つい熱中して撮っていたら,中から…

「なぜ雌と雄があるか」をめぐる問題のまとめ

「配偶子の対称性の破れ」だけが「なぜ雌と雄があるか」の生物学だと思われるとバランスを欠くので,もう少し全体像について書いておくことにする. こんな受験勉強は嫌だ 前回のブログを書くために検索していたら,こんなのをみつけた.center.miggy.jp生物…

卵子と精子の対称性の自発的破れ - 性差のはじまりを考える

「性をめぐる生物学の理論」について,特論(この回)と一般的な話(次回)の2回に分けて書く.自分が大学院生の頃は「社会生物学」とか「進化とゲーム理論」という言葉が新鮮な響きを持っていた時代で,そういう話題を普通の教養の一部として耳にする機会が…

一過性全健忘(TGA)体験記 /補遺

そろそろ平常運転に戻りますが,沢山の方に読んで頂いたので,少し補足をします. Q 記事へのコメントで意外だったのは? 「頭を打ってTGAのような症状になったことがある」という方が複数いらっしゃいましたが,それはあまり考えたことがありませんでした.…

ある日海馬が故障した - 一過性全健忘(TGA)体験記

だいぶ固い話題が続いたので,気分を変えて.3年ちょっと前に経験した奇妙な出来事についての報告を書くことにする.簡単にいうと,ある日突然海馬が故障して記憶にまったく書きこみができなくなり,数時間で治った.という話である.途中から科学者魂という…

光の波(下) ― きれいな光には毒がある

発端となったカメラの絞り値の話はかなり雰囲気も違うので,後日掲載ということで,光学編はこれでひとまず終わりです. 日常の中で光が波だと気づかないのはなぜ? 前回触れたような面白い現象がいろいろあるのに.ふだん光が波であることをあまり意識しな…

光の波(上) ― 波から「光線」ができる仕組み,波だから起きる謎の現象

光シリーズの実質最終回ですが,なんか伸びちゃったので上下に分割です. 光と電波は仲間 ときどき思うのだが「光も電波もX線も同じ種類のもの」(電磁波)だというのはどのくらい一般的な知識なのだろうか.日本に住んでいる人の8~9割が普通にそう思って…

2×2行列でレンズ系を解く

今回はレンズ4部作(?)のうちで,いちばん数式の多い回かも.今後こういうのがずっと続く訳ではなくて,数式レスのネタも各種予定しているのでよろしく. ガウスとレンズのつながり 数学者のガウスとレンズの繋がりというと,カメラが好きな人は「ガウス…

光学の初歩はけっこう面白い

なんでこんなことになったのだぁ これから数回続けて光学ネタになるが,レンズブログになったわけではないし,特別にこの方面が得意というわけでもない.もとはといえば,友人にカメラの絞りと被写界深度の関係について聞かれたのが発端である.「せっかく図…

個別性を選ぶということ ー プリーモ・レーヴィとオリヴァー・サックス 

プリーモ・レーヴィと「周期律」 プリーモ・レーヴィの「周期律」が本棚に見当たらない。どこにやったのか憶えていないが,アマゾンで調べたら,もう新本は買えないみたいだ。「周期律」は大変風変わりな短編小説集である。作者は本職の化学者で、各作品ごと…

ワトソン君よりアントン君 - 揺らぐタンパク像

ワトソン君よりアントン君 「アントン」の話を初めて聞いたときには,これはもう世間で有名なもので,自分は話題に出遅れているのだと思った.ところが科学や技術に興味がありそうな人に話してみると,意外とみんな知らない.その代わりに話題に出てくるのは…

気象の話の補足

お仕事のほうの記事がウェブに出ました.気候変動リスク情報創生プログラム:響き合う人とデータ―統数研プロジェクト:統計数理研究所取材記事といっても内部で作成した広報資料です. 私は他の3人と違って実行部隊ではないですが,少しだけアイディアを出…

動的平衡なんて怖くない

動的平衡 福岡伸一の「動的平衡」という本が話題になったのは,もうだいぶ前のような気がする.「あれ~なんかおかしいなあ,動的平衡って別に生物に限らない筈だよねー」とか思ってるうちにブームになり,「文句いおうかどうしようか」と空気を読んでいるう…

5次方程式の解をぐるぐる動かす

続編です 前回「平方根の日付変更線」の続編である.こんどの話には元ネタがあるが,それは後で紹介する.ただし「ニュートン法で解析接続する」「それをマウスでカチカチ実演する」というあたりはオリジナルである. こんどは5次方程式 前回は平方根,すな…

平方根の日付変更線

複素数をなめたらあかんで 複素関数論のテキストを持って歩いていたら,情報系の研究者に「複素数って何に役立つんですか」みたいなことを聞かれた.心外である.2重に間違っているではないか. まず,複素数は役に立つ.たとえば,量子力学以降の自然記述…

ローレンツは気象学者の敵じゃなかったみたいだ

少し前から創生プロジェクトという未来の気候の予測に関する巨大プロジェクトの隅のスミにいる.メンバーはほぼ全員が気象とか防災の専門家だが,試しに統計科学の人もいれてみようということで,私の属している研究所から4人だけはいっている.気象の人たち…

プリオン補足

専門性の高い方からと思われるブックマークのコメントに>正常に畳まれかかった蛋白質が、凝集体の端に引っかかって解かれながらくっついて一部になっていくイメージで、「自己増殖」とか「感染」とかいう感じではない。シート状に畳む方が互いにくっつき易…

「雨の日は傘を回そう」の答

そういえば「雨の日は傘を回そう」の答を書くのを忘れていた.傘を離れた雨粒は図のCの方向,すなわち接線方向の前方に飛ぶのである.「力の働かない物体の速度は一定」というニュートンの法則の通りである.もちろん空気の抵抗はあるが,それは理想的なCと…

プリオンなんて嘘だと思ってた

はじめはプリオンなんて信じなかった.だって話が出来過ぎではないか.たんぱく質の1次元配列は同じでも,その折りたたみの形状が複数ある.みんながAという折りたたみ方をしているときに,それよりちょっとだけ安定なBという形状のものを入れると,それが…

利己的な毒キノコ

生物の話もいろいろあるが「群淘汰は起こりにくい」という原理は知っておいて損はないと思う.これによって,ずいぶん多くの疑わしい説明から逃れることができる.具体例として猛毒キノコを考えてみよう.毒で受動的に身を守ることの問題点は,毒が廻ったこ…

雨の日は傘を回そう

科学は常識の延長ではない.たぶん,そのいちばん身近な例はニュートン力学だろう.摩擦だらけのこの地上の世界で,力が加速度に比例し,力の加わっていない物体はそのままの速度で直進するのが本来の姿,などどはゆめゆめ思い付くことではない.ニュートン…